The Indifference Engineを読んだ
published: 2022-01-28
revised: 2022-01-28
カテゴリ: 感想
The Indifference Engine
『虐殺器官』、『ハーモニー』の著者である伊藤計劃先生による短編集
感想
007やメタルギアソリッドの二次創作、長編作品の元となった作品が多いので単体で読んでも面白くないかもしれないが、虐殺器官と屍者の帝国を読んでいるとめちゃくちゃ面白い。
特に印象に残ったものの感想を述べる。
The Indifference Engine
民族間の虐殺と戦争後の話。『虐殺器官』でも描かれていたのだが、先進国の傲慢さみたいなものが強く描かれていた。
じょおおおおおおおおだんじゃない。悪趣味というか厨二というか露悪的というか、そんな感じのものがめちゃくちゃ濃く出てて好き。
セカイ、蛮族、ぼく。
ラブコメ世界になぜか蛮族がいる話。重い話に挟まれてるのが更に面白い。
女王陛下の所有物・From the Nothing, With Love.・屍者の帝国
007の二次創作っぽい。意識のバックアップを取り、他の人間に上書きすることで不老不死を実現する技術が登場する。舞台がイギリス、屍者技術とも似ているので『屍者の帝国』の原型だと思う。
他作品でもそうなのだが、人間を物質的なものとして貶めるのが好きなんだなと感じた。
冒頭で円城塔みを感じたが、円城塔っぽさを出すだけでなく、きちんと内容と意味の繋がりをもたせてメタ的演出をしていて本当にすごい。さらに、この作品への円城塔からのアンサーが『屍者の帝国』のフライデーであり、あのラストなんだなとわかったのが良かった。