いま集合的無意識を、を読んだ
published: 2022-03-01
revised: 2022-03-01
カテゴリ: 感想
伊藤計劃の『ハーモニー』へのアンサーだということをどこかで見かけ気になっていたのをやっと読んだ。この著者の作品を読むのは初めてかと思ったが、異常論文の解説を書かれていた。
意識とは、人が認識している世界とはといったことがテーマになっている。世界に対してそんな解釈があったのか!と思わせてくれる自・我・像など面白い作品ばかりだった。
表題作である『いま集合的無意識を、』は、著者のコンピュータに突然表れた伊藤計劃を名乗るAI?との対話形式で話が進む。著者が『ハーモニー』を読んで伊藤計劃と話したかったことをここで書いているのだと思う。
小説にしてまで伝えたかった"感想"の重さが良かった。ハーモニーに対する『いま集合的無意識を、』、遺されたプロローグに対する『屍者の帝国』といい、死後も彼の作品の、考えの行先を他のSF作家に考えさせるというのはすごいことだな思った。