最推し作品について語るだけ
この世界に未来の技術を伝授するシリーズ
Minecraftの実況動画という体をとった映画のようなもの。投稿者は匠屋氏、同名の登場人物である匠屋が主人公。
実況動画というスタイルを使ったメタ的な演出、伏線が散りばめられたストーリー、魅力的な登場人物、Minecraftという舞台を活かした巨大建築、編集センスなどなど良いところがたくさんある。
まあ悪いところもあって、著作権周りはガバガバである。BGMは言うまでもなく、映画の映像が差し込まれたりする。特に断りもなく、巨大建築が配布ワールドの改変だったり配布ワールドそのままだったりする。
第一期、タイトルに「Я」が加わった第二期がある。
Youtubeには第一期、ニコニコには第一期、第二期両方が投稿されている。
映画としての良さ
ストーリー
まず、何より分かりやすく良いのはストーリーと構成である。作者本人がとにかく風呂敷を広げて作ったと言っているくらい話の規模が大きく、それでいて何度も見返し整理しても話の破綻が見つからず、新たな発見があるほど緻密に練り上げられている。
その壮大で複雑なストーリーが少しずつ明らかになっていくのだが、当然1周目では理解しきれない。だが、全体の流れが掴めなくても楽しめるような構成になっているのが良い。わからなくても楽しいし、わかれば更に楽しい。
音楽
BGMは映画サントラ、アニソン、サンホラ、EDMなどが使われているのだが、音楽を効果的に使うのが上手い。プロの作品ならば専門の人がつくのだろうが、同人作品でここに凝っているものは少なく、同人の映像作品の中ではトップクラスだと思う。
ときには別の音楽が繋げられていたりとかなり凝っている。
映像
登場する建築物も良く、とにかくでかい。Minecraftの動画では建築を見せる映像が多いのだが、この作品は逆で、映像のために建築物が存在している。そのため、何十時間もかけて作られたような建築が数秒しか登場しないようなこともあり、映像が濃い。
また、編集がプロレベルで映像がゲームの域を超えている。例えば、ゲーム内でのカメラ操作は移動しか出来ないのだが、4Kで録画し編集で拡大することで擬似的にズームインの操作を再現している。編集による映像のつなぎ合わせで高度限界を超えたような演出をしているなど、持った道具で演出するのではなく、演出のために道具を駆使するような拘りを感じられる。
バズ狙い的な視点
昨今のYoutube動画に慣れている人にとって序盤は退屈かもしれないが、作者本人が序盤のクオリティをあえて下げることで、盛り上がったときの満足度を上げる的な話しをしていたので我慢してみてほしい。そういった、視聴者の感情をメタ的に見て投稿しているのもすごい。
ナマモノとしての良さ
ゲーム内で撮影するためにはプレイヤーが動く必要があり協力者が必要である。また、巨大建築を制作も協力者が必要でよくニコ生で建築や撮影が行われていたらしい。
作中に企業連合、反企業連合という組織が登場するのだが、それぞれに中の人が存在する。
私は投稿されて数年後にこの作品にハマり、Twitterの検索機能を使って過去のコミュニティと繋がりを勝手に調べ上げたりしたのだが、別の場所で活躍している人からこの作品の影響を微かながらにも感じられると気持ちよくなれる。
MAD的な良さ
作品内では映像、BGMなど色々な作品が使われている。
使われている映像・音楽の元ネタを出来る限り追っているのだが、新劇場版エヴァンゲリオン、メトロポリス、銀河ヒッチハイク・ガイド、宇宙海賊キャプテンハーロック、STEINS;GATE、魔法少女まどか☆マギカ、Sound Horizonなどなど、色んな作品を見るきっかけになった。
受けた影響
これは完全に自分語りであるのだが、この作品から受けた影響を語らせてほしい。
はじめに、Minecraftの工業化MODが登場するのだが、これで遊ぶきっかけになった。工業化MODはMinecraftの各種要素をあれこれ自動化できる改造パッチである。これがすごくて、義務教育でプログラミングを学ばせるくらいならば工業化MODで遊んでいたほうが、プログラミング的思考が身につくんじゃないかと思う程である。プログラミングを始め、今Web開発をやっている原点にはこれがある。
次に、絵を描き始めたきっかけがこの作品である。匠屋というキャラクターが大変魅力的なのだが、私が見始めた時点で供給はほとんど途絶えており自給自足するしかなかった。絵のスキルは汎用性が高く色んな所に役立っている。
また、ホロライブを見始めたきっかけもこれである。メタい話だが、作中の「蜘蛛ちゃん」の中の人が今では白い狐をやっている。この方のTwitter浮上が絶えたのに気づき、調べたのがきっかけだった。
あとがき
永遠に一番の座にある作品である。
総合的な印象は中学2年生の頃に見た所によるものが大きいかもしれない。しかし、何度見返しても新たな良さが見つかる。一つの作品を骨の髄までしゃぶりつくそうと思えるだけの魅力が詰まっている。
今後更新されるかはわからないが、作者の生存確認ができる内は待ち続けたいと思う。